保険の見直しや加入を検討している際、「医療保険と死亡保険、どっちを優先すべき?」という疑問は非常に多くの方が抱くものです。
結論から言うと、どちらが“正解”かは人によって異なり、「生活状況」「家族構成」「収入」「将来設計」などを踏まえて選ぶべきです。ただし、共通する基本的な判断基準はあります。
目次
医療保険と死亡保険の違いを整理
保険にはさまざまな種類がありますが、その中でも医療保険と死亡保険(生命保険)はもっともよく知られている基本の2種類です。
一見似ているようで、備えるリスクの種類や給付のタイミング、受け取る人、目的がまったく異なります。正しく理解することで、無駄なく・漏れなく保障を備えることが可能になります。
【医療保険と死亡保険の違い】基本比較表
比較項目 | 医療保険 | 死亡保険(生命保険) |
---|---|---|
主な目的 | 自分の治療費に備える | 遺族に経済的支援を残す |
対象となるリスク | 病気・けがによる入院・手術 | 死亡または高度障害 |
保険金の受取人 | 本人(契約者) | 家族・遺族(受取人を指定) |
保険金が出るタイミング | 入院・手術時 | 死亡時・高度障害状態 |
保障期間 | 定期 or 終身(選べる) | 定期 or 終身(選べる) |
主な保障内容 | 日額給付、手術給付、先進医療など | 一括死亡保険金、収入保障形式など |
加入の優先度 | 誰にでも必要(基礎保障) | 扶養家族がいる人に優先して必要 |
保険料の目安(30代) | 月2,000〜3,000円程度 | 月3,000〜10,000円以上(保障額による) |
【1】目的の違いを明確に
● 医療保険は「自分を守る」
→ 病気やけがによる治療費、入院・手術費などの自己負担を軽減する
● 死亡保険は「家族を守る」
→ 自分が亡くなった時に遺された家族の生活費・教育費・ローン返済を支える
【2】給付のタイミングと受取人の違い
- 医療保険: 入院や手術が発生した「その都度」、本人に直接給付される
- 死亡保険: 被保険者が亡くなった時、遺族や指定された人に一括または分割で給付
【3】保険料の違い(30代モデル)
保険種類 | 保障内容 | 月額の目安 |
---|---|---|
医療保険 | 入院1日1万円、手術・通院特約付き | 約2,000〜3,000円 |
死亡保険(定期) | 死亡時500万円一括給付 | 約1,500〜2,500円 |
死亡保険(終身) | 死亡時300万円+解約返戻金あり | 約6,000〜10,000円 |
【4】ライフステージごとの必要性の違い
ライフステージ | 医療保険 | 死亡保険(生命保険) |
---|---|---|
独身(20〜30代) | ◎ 基礎的に必要 | △ 最低限(葬儀費用程度) |
子育て世代(30〜50代) | ◎ 重要 | ◎ 高額保障が必要 |
子ども独立後(50代以降) | ◎ 老後医療への備え | △ 整理資金・相続用に小口でOK |
老後・定年後(60代〜) | ◎ 医療・介護保障中心 | ◯ 終身型で死後費用・相続対策 |
【どちらが必要?判断ポイント】
- 扶養家族がいるか? → 死亡保険は必須
- 医療費に不安があるか? → 医療保険は重要
- 独身・扶養なしなら → 医療保険+少額死亡保障がベース
- 老後の資産整理を考えるなら → 終身保険(貯蓄型)も選択肢に
優先順位の基本的な考え方
保険選びで最も大切なのは、何に備えるべきかの優先順位を明確にすることです。
医療保険と死亡保険はどちらも重要な役割を果たしますが、人それぞれの生活状況・家族構成・経済的背景によって優先順位が異なるため、一律の答えはありません。
しかし、「どう判断すべきか」の基本軸は存在します。
【1】医療保険が優先されるケース
◎ 「自分自身を守ること」が目的
【こんな人に必要】
- 独身または扶養家族がいない
- 自営業・フリーランスなど、働けなくなると収入がゼロになる
- 貯金が少なく、急な入院費や治療費に不安がある
医療保険が備えるリスク:
- 入院・手術・通院の医療費
- 働けない間の生活費補填(就業不能特約など)
優先される理由:
→ 病気やけがのリスクは全員に平等に訪れるため、家族の有無にかかわらず備える必要がある
【2】死亡保険が優先されるケース
◎ 「遺された家族を守ること」が目的
【こんな人に必要】
- 配偶者・子どもなど扶養家族がいる
- 住宅ローンや教育費など、継続的な支出が残る
- 自分が亡くなったときに、生活が成り立たなくなる人がいる
死亡保険が備えるリスク:
- 遺族の生活費・教育費
- 住宅ローンの残債(団信がない場合)
- 葬儀・整理資金
優先される理由:
→ 自分が亡くなることで困る人がいる場合は、死亡保険が最優先の保障になる
【3】判断の基準フローチャート(シンプルな例)
▼ 扶養家族がいるか?
→ YES:死亡保険を優先
→ NO:医療保険を優先
▼ 貯金が十分あるか?
→ NO:医療保険を強化
→ YES:医療保険は最低限に
▼ 自営業・不安定収入か?
→ YES:就業不能保険も検討
▼ 老後の備えをしたいか?
→ YES:終身保険(少額)を併用
【4】目的別の優先順位整理
目的 | 優先される保険 | 解説 |
---|---|---|
病気やけがの出費に備えたい | 医療保険 | 自己負担軽減のための基礎保障 |
遺族にお金を残したい | 死亡保険 | 配偶者・子どもの生活費が目的 |
老後資金を確保したい | 終身保険(貯蓄型) | 死亡保障+資産形成に活用可能 |
保険料を抑えたい | 掛け捨て型保険中心に | 最低限の保障を優先的に備える |
【5】ライフステージ別の優先度比較
年代・立場 | 医療保険の優先度 | 死亡保険の優先度 |
---|---|---|
20代独身 | ◎ 必要(自己防衛) | △ 最低限で可 |
30代既婚・子育て | ◎ 基本保障+特約 | ◎ 生活費・教育費をカバー |
40代住宅ローンあり | ◎ 生活保障+介護備え | ◎ 家族の保障強化 |
50代以降 | ◎ 老後・介護への備え | ◯ 葬儀費用や相続準備 |
高齢・独身 | ◎ 入院・介護リスク高 | △ 少額でOK(整理資金) |
【誤った優先判断の例とその危険性】
- 家族がいるのに医療保険しか入っていない
→ 万一のとき、遺族が生活できなくなる - 独身なのに高額な死亡保険に加入
→ 保険料の無駄、保障が不要に過剰 - 医療費の自己負担が不安なのに、保険に未加入
→ 入院時に貯金を崩すことに
年齢・ライフステージ別の判断基準
保険は「何歳で入るか」だけでなく、「どんな生活環境・家族構成・将来計画か」によって必要な保障が大きく変わります。
ここでは、各ライフステージごとに、医療保険と死亡保険の必要性や優先順位を整理し、適した保険の考え方をご提案します。
【1】20代独身
状況の特徴:
- 健康状態が良好、保険料が安い
- 収入が安定しない・貯金が少ない
- 結婚・出産は将来の可能性
医療保険:
◎ 高い優先度
→ 病気やけがで入院すると収入が止まりやすいため、最低限の保障を確保することが大切
死亡保険:
△ 必要性は低め
→ 扶養家族がいなければ高額な死亡保障は不要。葬儀費用(100〜300万円)程度の終身保険があれば十分
【2】30代 既婚・子育て世代
状況の特徴:
- 配偶者・子どもなど扶養家族が増える
- 教育費・住宅ローンなど支出が増加
- 働き盛りで万が一の際の損失が大きい
医療保険:
◎ 継続的に必要
→ 子育て中の医療費リスクに備える。夫婦ともに医療保障を持つことが望ましい
死亡保険:
◎ 最も重要
→ 万が一の際、家族の生活費・教育費・ローン残債などを保障できるよう、2000万〜3000万円の定期保険が現実的
【3】40代 ミドル世代
状況の特徴:
- 子どもの教育費ピーク
- 住宅ローンの中盤
- 健康リスクが増加し始める
医療保険:
◎ 高リスク期に突入
→ がん・生活習慣病などの特約をつけて手厚く備える必要がある
死亡保険:
◎ 継続して必要
→ 教育費がまだ残っているなら、定期保険を維持
→ 子どもが独立し始めたら、保障額の見直し(減額)も検討
【4】50代 子ども独立・老後準備期
状況の特徴:
- 子どもの独立が近い
- 自分の老後を見据える時期
- 医療・介護の不安が大きくなる
医療保険:
◎ 必要性がさらに高まる
→ 先進医療・通院特約・がん一時金などを重視して設計
死亡保険:
◯ 整理資金・相続対策として活用
→ 教育費などの責任が減ってくるため、終身保険(300万円程度)で葬儀費用などに備える
【5】60代以上 シニア・リタイア世代
状況の特徴:
- 公的年金が主な収入源に
- 保険の見直しが難しくなる(健康状態の影響)
- 相続・終活を考え始める
医療保険:
◎ 継続 or 強化
→ 高齢化に伴い入院・通院機会が増加。既存契約の継続が最も効率的
死亡保険:
◯ 最低限の整理資金+相続対策
→ 保険金の非課税枠を活用した終身保険が有効(例:法定相続人×500万円)
プロの視点からのアドバイス
生命保険の選び方には正解がありませんが、保険のプロが共通して重視するのは、目的に合った保障を、必要なときに、無駄なく持つという原則です。
保険は「安心を買うもの」ではなく、具体的なリスクと金額を想定し、それに応じて対策を講じる家計の防衛手段です。
【1】医療保険は「誰にとっても必要な基礎保障」
なぜ必要か?
- 病気・けがのリスクは年齢・家族構成に関係なく全員に共通
- 公的医療制度ではカバーできない部分(差額ベッド代・通院費・先進医療)を補う
- 働けない間の生活費補助としても役立つ(就業不能保険と併用可能)
「自己防衛の第一歩として、最低限の医療保障は“保険の土台”として確保すべき」
保険料は若いうちに入ると安価なので、早期加入が合理的。
【2】死亡保険は「誰のために残すのか」を明確にする
死亡保険が必要な人:
- 扶養している配偶者・子どもがいる
- 住宅ローンや借金が残っている
- 自分が亡くなると誰かが経済的に困る状況にある人
「死亡保険は“家族への経済的責任を果たす道具”。独身や扶養なしの人には不要または最小限でOK」
→ 金額の目安や期間も、生活費・教育費の必要年数に合わせて設計するのが基本。
【3】「目的と金額が明確でない保険」は見直し対象
よくあるミス:
- 目的が曖昧なまま、勧められるまま加入
- 同じような保障が重複していて保険料がかさむ
- 解約返戻金があるからといって必要のない終身保険に過剰加入
「目的を説明できない保障は“持っていないのと同じ”。今の自分にとって“なぜそれが必要なのか”を言葉にできるかがカギ」
【4】優先順位の考え方:「リスク×影響度×カバー方法」で判断
判断軸 | 質問 | 判断方法 |
---|---|---|
リスクの発生頻度 | そのリスクはどれくらいの確率で起きる? | 医療リスクは高頻度 → 医療保険優先 |
経済的影響度 | 起きたらどれだけ家計に打撃? | 死亡時の影響が大 → 家族がいる人は死亡保険必須 |
他のカバー手段 | 他で補える?貯金で足りる? | 足りない分だけを保険で補填するのが合理的 |
【5】加入後も「見直す前提」で設計する
- 保険は“加入して終わり”ではなく、ライフステージごとに見直すべきもの
- 子どもが生まれた、家を買った、転職した、親の介護が必要になったなど、生活が変わるたびに見直しが必要
- 見直しのしやすさも設計に入れる(掛け捨て+終身、定期の併用など)
【プロがすすめる「保険選びのステップ」】
- どんなリスクがあるか洗い出す(死亡・入院・就業不能など)
- そのリスクが起きたら、いくら必要か試算する
- 貯蓄や制度でカバーできるか?足りない分を保険で補う
- 優先順位の高い順に必要な保険を選び、過剰な保障はつけない
- 5年ごとに見直し・必要なら減額・解約も含めて調整
両方をバランスよく備える方法も
医療保険と死亡保険はそれぞれ目的が異なるため、「どちらか一方ではなく、両方を適切に持つこと」が理想的な保険設計です。
しかし、すべてを手厚くすると保険料が高くなり、家計の負担になります。そこで大切なのが、優先順位とライフステージに合わせて「バランスよく」保障を設計することです。
【1】両方をバランスよく備えるべき理由
項目 | 医療保険 | 死亡保険 |
---|---|---|
主な役割 | 病気・けがの医療費補填 | 家族への生活資金・教育資金の確保 |
想定する場面 | 入院・手術・通院 | 自分が亡くなったとき |
必要な人 | すべての人 | 扶養家族がいる人 |
→ 両方にリスクがある以上、「どちらか」ではなく「どちらも備える」のが基本です。
【2】設計のポイント:保障の目的と金額を分けて考える
◎ 医療保険:自分の治療・療養費用
- 入院給付金:1日5,000〜10,000円
- 手術給付金・通院給付金・先進医療特約などを必要に応じて追加
◎ 死亡保険:家族の生活資金
- 定期保険(10年・60歳まで)+終身保険(葬儀費用分)
- 配偶者・子どもがいる場合は、2000万〜3000万円の定期死亡保障が目安
【3】保険料を抑えながらバランスよく備えるコツ
コツ | 説明 |
---|---|
掛け捨て保険を活用する | 定期保険・医療保険は掛け捨てで十分な保障を低コストで確保 |
終身保険は少額に抑える | 死亡保障として300万円程度(葬儀・整理資金) |
保険と貯蓄を分けて考える | 資産形成はNISA・iDeCoで、保険はリスク対策に特化 |
保険料は月収の10%以内に | 無理のない範囲で続けられる設計にすることが重要 |
【4】年代別のバランス型設計例
■ 30代夫婦・子どもあり
- 医療保険:入院1万円/日、三大疾病特約付き(約3,000円/月)
- 定期死亡保険:3,000万円(60歳まで、約5,000円/月)
- 終身死亡保険:300万円(約4,000円/月)
→ 合計月保険料:約12,000円
→ 家族が安心できる十分な保障と老後の備えを両立
■ 40代子ども独立間近・住宅ローンあり
- 医療保険:通院・先進医療までカバー(約4,000円/月)
- 定期死亡保険:2,000万円(ローン返済分をカバー、約4,000円/月)
- 終身死亡保険:300万円(葬儀費用+資産分割、約6,000円/月)
→ 合計月保険料:約14,000円
→ 老後も見据えつつ、現実的な負担で維持可能
【注意点:こんな設計は避けたい】
- 医療保険とがん保険が重複している
- 死亡保障が高額すぎて保険料が家計を圧迫
- 目的が不明確な貯蓄型保険が多すぎる
- 保険に偏りすぎて、貯蓄・投資の余裕がない
どちらか一方ではなく、「自分に必要な保障」を判断基準に
生命保険には「医療保険」や「死亡保険(生命保険)」など複数の種類があり、「どちらを選ぶべきか?」と悩む方は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、本質的な問いは「医療か死亡か」ではなく、「今の自分の生活にとって、どんなリスクに備える必要があるか?」ということです。保険は“安心を買う”ものではなく、起こり得る損失に備える道具です。
【1】なぜ“種類”ではなく“必要な保障”で判断すべきなのか?
● よくある誤解:
- 医療保険だけで安心と思い込んでいる
- 死亡保険に高額加入しているが、独身で扶養がない
- 勧められるままに重複した保障に入っている
● 正しい考え方:
「自分に起こる可能性のあるリスク」と「そのとき必要なお金」を明確にし、その**“不足分”だけを保険で備える**
【2】“必要な保障”を判断する3ステップ
ステップ①:リスクの洗い出し
- 病気やけが → 医療費・収入減の備え
- 死亡 → 遺族の生活費・教育費・葬儀費用
- 働けなくなる → 就業不能・生活費補償
- 老後 → 介護・入院・整理資金
ステップ②:経済的な影響額を見積もる
- 入院時の費用:約15〜30万円(高額療養費制度後でも)
- 死亡時:家族4人で最低3000万円〜(生活費+教育費)
- 葬儀費用:約100〜200万円
ステップ③:公的制度や貯金でカバーできるかを検討
- 健康保険・高額療養費制度
- 遺族年金
- 自分の貯金や資産
→ カバーできない“差額”を保険で補う=必要な保障
【3】ライフスタイル別の必要保障の違い
状況 | 必要な保障の種類 | 優先度 |
---|---|---|
独身・若年層 | 医療保障+就業不能保障 | 高(収入・貯蓄リスク) |
子育て世帯 | 死亡保障+医療保障 | 両方とも高(家族守る) |
退職直前 | 医療・介護保障中心 | 高(医療費・整理資金) |
シニア・独身 | 終身保険(少額)+医療保障 | 医療>死亡 |
【4】判断ミスを防ぐプロのチェックポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
保険の目的を説明できるか? | 何に備える保険か自分の言葉で言えるか |
保険金額は具体的に計算したか? | 必要額を根拠ある数字で設計しているか |
保険料は家計に合っているか? | 月収の10%以内に収まっているか |
同じ保障が重複していないか? | 医療・がん・三大疾病で内容がかぶっていないか |
【5】プロの提案:種類ではなく“目的ごとに必要な保障”を設計する
例:30代既婚・子ども2人
- 医療保険(自己治療費用に)→ 入院1万円/日+手術・通院(3,000円/月)
- 就業不能保険(収入補填に)→ 月10万円×1年(2,000円/月)
- 死亡保険(遺族生活費に)→ 3000万円の定期保険(5,000円/月)
- 終身保険(葬儀・相続対策に)→ 300万円(4,000円/月)
→ 全体で月約14,000円。無駄なく、必要な保障だけに絞った設計
- 保険のトータルプロフェッショナル
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