生命保険に加入するとき、「どのくらいの保障額があれば安心なのか?」という疑問は非常に多くの方が抱えています。
保障額が少なすぎると家族の生活が不安定になり、多すぎると保険料が家計を圧迫します。そこで今回は、「必要な保障額の考え方」と「安心できる金額の目安」について詳しく解説します。
適正な保障額の考え方
「生命保険に加入しているけれど、本当にこれで足りるのだろうか?」という不安を抱く方は少なくありません。
保障額は感覚ではなく、客観的な数値で算出することが大切です。ここでは、「適正な保障額」の考え方について、具体的なステップに分けてわかりやすく解説します。
適正な保障額の算出ステップ
ステップ1:必要な支出を洗い出す
- 遺族の生活費
→ 子どもが独立するまでの期間 × 月額生活費
例:月25万円 × 20年 = 6,000万円 - 教育費
→ 子どもの年齢と進学希望に応じて見積もる
例:私立大学まで進学で1人約1,000万~1,500万円 - 住宅関連費
→ ローンの残債や賃貸料
※住宅ローンに団信が付いていれば、保障対象から除外可能 - 葬儀・一時費用
→ 葬儀費用やお墓、法要などで数十万〜200万円程度
ステップ2:差し引ける収入を確認
- 公的保障(遺族年金)
→ 子ありの配偶者なら年間約100万円前後 × 支給年数 - 勤務先の死亡退職金・共済など
- 貯蓄・金融資産・運用資産
ステップ3:必要保障額を算出
計算式:
必要保障額 = 必要支出総額 - 差し引ける収入
例)
- 必要支出:生活費6,000万円 + 教育費2,000万円 + 葬儀費用200万円 = 8,200万円
- 差し引ける収入:遺族年金2,000万円 + 貯蓄1,000万円 = 3,000万円
- 必要保障額:8,200万円 – 3,000万円 = 5,200万円
- 家族構成やライフスタイルによって大きく変動する
- 年齢が上がると教育費などの支出が減るため、定期的な見直しが必要
- 必要保障額が分かると、無駄な保険を減らすことも可能に
必要な支出の内訳
「適正な生命保険の保障額」を見積もる際の最重要ステップが「必要な支出の内訳」を具体的に把握することです。
家族を遺してしまった場合、生活はどう変わり、何にいくら必要になるのかを正確に見積もることが、無駄のない保険設計に直結します。ここでは、その内訳をより詳しく解説します。
必要な支出の内訳【詳細】
1. 遺族の生活費
- 日常生活の費用(食費、光熱費、衣料、通信費、交通費など)
- 月額20万円〜30万円が一般的な目安
- 必要年数は「子どもが独立するまで」または「配偶者の年金受給開始まで」が基準
- 例:月25万円 × 20年 = 6,000万円
2. 教育費(子ども一人あたり)
- 幼稚園~大学までの総額:
- 公立:総額約1,000万円
- 私立:総額約2,000万円
- 進学コースによって大きく差が出るため、具体的な希望進路で見積もる
- 塾・習い事などの「教育関連費」も含めて考える
3. 住宅関連費
- 住宅ローンの残債:団信(団体信用生命保険)で返済免除になる場合は除外可
- 賃貸の場合:月々の家賃 × 残りの住居期間
- 修繕・管理費など:持ち家でも長期的に発生するため考慮が必要
4. 葬儀費用・一時金
- 葬儀:平均約150万円〜200万円
- 墓地・納骨・法要などを含めるとさらに加算される
- 初年度に必要な生活立て直し費用(引越、家財処分、心療内科通院など)も含むと安心
5. 子どもの結婚・独立支援金(任意)
- 必須ではないが、必要と考える家庭では一人あたり数百万円の準備も検討可
合計イメージ(子ども2人、持ち家)
項目 | 金額(目安) |
---|---|
生活費(20年) | 約6,000万円 |
教育費(2人) | 約2,000万円 |
住宅修繕・管理費 | 約300万円 |
葬儀・一時費用 | 約200万円 |
合計 | 約8,500万円 |
差し引く収入の内訳
生命保険の「必要保障額」を算出する際には、「差し引く収入」を正確に把握することが大切です。
万が一の時には、遺族が受け取れる公的保障や会社の給付金、すでに持っている貯蓄などを差し引くことで、実際に民間保険で補うべき金額が明確になります。ここでは、その内訳について詳しく解説します。
差し引く収入の内訳【詳細】
1. 公的保障(遺族年金)
日本の公的年金制度では、以下の年金が遺族に支給されます。
- 遺族基礎年金(国民年金加入者対象)
- 子のある配偶者、または子どもに支給
- 2024年度時点:年額約80万円+子ども加算
- 遺族厚生年金(厚生年金加入者対象)
- 夫が亡くなった場合、配偶者が年額の約3/4を受給
- 金額は被保険者の報酬額や加入期間により異なるが、年額100万~150万円程度が目安
※子どもが18歳になる年度末まで支給(障害のある子は延長あり)
2. 勤務先からの給付金
- 死亡退職金:勤務先の制度による。数百万円~数千万円のことも
- 弔慰金・共済金:会社の福利厚生や団体保険により支給されるケースあり
- 労災保険:業務上の事故や病気が原因で亡くなった場合は追加給付
3. 既存の貯蓄・金融資産
- 預貯金:定期・普通預金など、すぐ使える資金
- 株式・投資信託・債券:流動性のある投資資産(時価ベースで評価)
- 学資保険・養老保険などの返戻金:解約返戻金がある保険は資産として評価
4. その他の収入
- 不動産収入:賃貸物件などがあれば将来にわたり収入源に
- 退職金の一部:予定していた退職金を前倒し活用する場合
- 生命保険以外の死亡保険金:複数契約があれば合算
差し引く収入を正確に見積もるポイント
- 遺族年金は「年額×支給年数」で試算する
- 勤務先の福利厚生は就業規則などで確認
- 資産は時価評価し、すぐ使える額で見積もる
- 長期にわたる収入(家賃収入など)は安定性を慎重に評価
安心できる保障額の目安
「どのくらいの保障額があれば、家族が安心して暮らせるのか?」という疑問は、保険相談で最も多いテーマの一つです。
保障額は、家族構成・ライフスタイル・住宅環境などによって大きく変わります。
ここでは、「安心できる保障額の目安」について、典型的な家庭モデルごとに詳しくご紹介します。
1. 独身者の目安:300万〜500万円程度
- 主な目的は「葬儀費用」「残債清算」「親などへの迷惑回避」
- 一人暮らしでも身元保証やお葬式代などを準備しておくと安心
- 遺族年金は対象外が多いため、貯蓄や定期保険での備えが基本
2. 配偶者のみ:1,000万〜2,000万円
- 配偶者の生活支援費を5〜10年分確保するイメージ
- 専業主婦(夫)の場合は生活費全額、自立している場合は補助的に
- 住宅ローンがある場合は、団信を除いた残債も考慮
3. 配偶者+子ども1人:3,000万〜4,000万円
- 生活費:月25万円 × 15年 = 約4,500万円が理想だが、遺族年金や貯蓄で補完
- 教育費:1,000万〜1,500万円程度(進学内容に応じて)
- 公的保障や勤務先の退職金制度も加味して調整
4. 配偶者+子ども2人以上:4,000万〜7,000万円
- 子ども2人分の教育費+生活費+一時費用(葬儀など)で最大7,000万円超も
- 遺族年金や貯蓄額に応じて、必要保障額を再計算
- 高額保障でも掛け捨て型(定期保険・収入保障保険)を活用すれば月額保険料を抑えやすい
年齢別の目安(目安の死亡保障額)
年齢 | 保障額の目安(配偶者+子1人) |
---|---|
30代 | 3,500万円〜4,500万円 |
40代 | 2,500万円〜3,500万円 |
50代 | 1,000万円〜2,500万円 |
住宅ローンの有無も大きな判断要素
- 団信あり(持ち家):住宅費の保障は不要
- 賃貸住まい:月額家賃 × 子どもが独立するまでの年数分を考慮
保障額の見直しが必要なタイミング
生命保険は、一度加入して終わりではありません。ライフステージや家計の変化に応じて、保障額も柔軟に見直すことが必要です。
適切なタイミングで見直すことで、無駄な保険料を削減し、本当に必要な保障に集中することができます。
ここでは「保障額の見直しが必要なタイミング」を詳しくご紹介します。
1. 結婚したとき
- 新たに配偶者を扶養する責任が生じる
- 自分に万が一があった際に、配偶者の生活費や住宅費を保障できるか確認
- 独身時代の低保障からの見直しが必要
2. 子どもが生まれたとき
- 教育費、生活費の増加に備え保障額を増やすべきタイミング
- 特に子どもが小さいほど、長期的な生活支援が必要
- 定期保険や収入保障保険で保障の補強を検討
3. 住宅を購入したとき
- 団体信用生命保険(団信)付きの住宅ローンなら、住宅費の保障は不要に
- その分、死亡保障額を減額できる可能性がある
- 固定費が増えるため、保険料とのバランスも見直しポイント
4. 転職・退職したとき
- 会社の団体保険・死亡退職金・福利厚生が変化するため、保障の見直しが必要
- 収入変動による保険料負担の調整も必要
- 特に退職時は、公的年金や健康保険も含めた全面的な見直しを行うべき
5. 子どもが独立したとき
- 教育費や生活支援が不要になり、保障額を減額できるタイミング
- 夫婦2人の生活設計へと切り替える
- 医療・介護・相続対策へのシフトも検討する
6. 定年・老後を迎えるとき(50代〜60代)
- 死亡保障よりも「医療・介護保障」への比重を増やす
- 資産保全や相続の観点で、終身保険や一時払終身の活用も視野に入れる
- 子や孫への贈与対策としても保険を活用可能
【定期的な点検のすすめ】
- 少なくとも5年に一度は保険の見直しを
- 年末調整や確定申告の時期にチェックすると継続しやすい
- 家族と話し合いながら「保険の家計会議」を設けるのも効果的
- 保険のトータルプロフェッショナル
家計診断、保険の見直しや長期の貯蓄計画、住宅購入や住宅ローンアドバイス、節税アドバイスなどを厳格な基準をクリアしたトップレベルの厳選されたマネーのプロフェッショナルが複数社比較して「保障が充実し、且つ保険料が割安」を提案してくれます - みんなの生命保険アドバイザー
オンライン保険相談にも対応し訪問相談は全国対応。 複数の保険メーカーを取り扱う事ができる優秀なFPのみしかいないので安心して相談でき、すでに過去利用者数50万人以上の実績ある保険相談