子どもが成人したら生命保険は不要?本当の判断基準

子どもが成人したら生命保険は不要?本当の判断基準

生命保険の主な目的は、「万が一の場合に、遺された家族が生活や教育を継続できるようにすること」です。

したがって、子どもが成人し、自立している場合、教育費・生活費の保障という大きな理由がなくなるため、保険の必要性は確実に下がります。

生命保険が不要になるかのチェックポイント

チェック項目 解説
子どもが経済的に完全に自立しているか まだ大学生、就職したてなどならもう少し保障が必要
配偶者の生活費を補う必要があるか 配偶者が専業主婦・主夫であれば保障は継続した方がよい
住宅ローンの有無 団信でカバーされていれば死亡保障は減らせる可能性大
葬儀費用・相続対策をどうするか 最低限の終身保険で備えるのも一つの手
老後の生活資金は準備できているか 生命保険より医療・介護の保障が重要になる時期

【不要になることが多い保障・特約】

  • 収入保障保険:子どもの教育費が不要になった後は、必要性が薄れる
  • 高額な定期死亡保険:目的が「家族の生活費補填」なら役割を終えている可能性
  • 特約多数付きの終身保険:特約の多くが現状に合っていない場合がある

生命保険を残すべきケースもある

  1. 配偶者が年金だけでは生活が厳しい場合
  2. 持病があり、医療・介護に備えたい場合
  3. 相続対策として非課税枠を活用したい場合
  4. 借入(ローンなど)が残っている場合

見直しの方法

  • 死亡保障の削減:定期保険の更新をやめる or 払い済み保険へ変更
  • 終身保険を活用:解約返戻金付き終身保険は老後資金として活用も可能
  • 医療・がん・介護保険にシフト:高齢期には入院や介護リスクへの備えが優先

子どもが経済的に完全に自立しているか

「子どもが経済的に完全に自立しているか」は、生命保険を見直すうえで非常に重要な判断ポイントの一つです。

なぜなら、生命保険の主な目的が「遺された家族の生活や教育を金銭的に支えること」だからです。子どもがその支援を必要としなくなったなら、保険の役割は一部終わったとも言えるからです。

以下で、経済的自立の判断基準や注意点を詳しく説明します。

「経済的に完全に自立している」の定義とは?

一般的には、子どもが働いて自分の生活費を稼ぎ、親の支援がなくても生活できている状態を指します。ただし、実際には状況によりグラデーションがあるため、以下のような観点で判断すると良いでしょう。

経済的自立のチェックポイント

チェック項目 解説
就職して収入があるか 正社員として収入を得ているなら自立に近い状態
学費・生活費を親が負担していないか 大学生や専門学校生で仕送りが必要な場合は未自立
家を出て独立しているか 一人暮らしを始め、生活基盤があるかどうか
結婚して家庭を持っているか 配偶者と生活を営んでいるなら、さらに自立度が高い
自分で税金・保険料を払っているか 親の扶養から外れているかを確認するのも目安になる

よくある「まだ支援が必要なケース」

  • 就職はしているが、収入が不安定(派遣、契約社員、フリーターなど)
  • 正社員だが、住宅や教育ローンの返済支援を親がしている
  • 結婚していても、孫の教育費などを支援している
  • 一人暮らしだが、親の仕送りを受けている

これらのケースでは「完全には自立していない」と考えるのが妥当です。したがって、生命保険の保障をすぐに削るのは時期尚早かもしれません。

親が亡くなったときの影響を想定する

  • 生活費の支援が止まる
  • 学費の支払いが滞る
  • 保証人としての信用支援がなくなる
  • 相続税や葬儀費用などを自力で負担しなければならない

これらの影響を見積もり、「自分がいなくなっても子どもが困らないか」という観点で判断するのが最も現実的です。

配偶者の生活費を補う必要があるか

生命保険の見直しで「子どもが成人した後」に焦点を当てると、次に重要な判断基準となるのが 「配偶者の生活費を補う必要があるか」 です。

これは特に、配偶者が経済的に依存している場合や、将来的に年金や資産だけでは生活が難しいと考えられる場合に、死亡保障を残す理由になります。

1. なぜ配偶者の生活費が保障の判断材料になるのか?

生命保険は基本的に、遺された家族の「生活費の喪失」を補う目的で設計されています。子どもが自立したとしても、配偶者が生活のために自分の収入や年金ではまかないきれない場合、そのリスクを補うために保険が必要になります。

2. 配偶者の生活費補助が必要な代表的なケース

ケース 補足
専業主婦・主夫 自身の収入がないため、夫(妻)亡き後の収入源が年金等に限られる
パート・非正規雇用 収入が少なく、将来の年金額も低くなりがち
配偶者が持病や障害で働けない 労働収入を見込めず、生活保障の重要性が高まる
年齢が若く、年金受給まで期間がある その間の生活費の「空白期間」を保険で埋める必要あり

3. 必要な生活費の目安

一般的には、配偶者一人が月に必要とする生活費は10〜15万円程度とされており、年間で約120〜180万円。
仮に10年分必要とすれば、1,200万円〜1,800万円が目安になります。

4. 公的年金でどこまで補えるか?

配偶者が遺族基礎年金・遺族厚生年金を受給できるケースもありますが、支給額は限定的です。

  • 遺族基礎年金:子どもがいない場合、支給なし
  • 遺族厚生年金:夫が厚生年金加入者であった場合、年金額の1/4〜1/2程度が支給される(年額数十万円〜)

つまり、公的保障だけでは生活費全体をまかなうのは難しいため、保険による上乗せが必要になることが多いです。

5. 不要な場合の判断基準

以下のような場合は、死亡保障を縮小しても問題がない可能性があります。

  • 配偶者が正社員として安定収入がある
  • 自分の退職金や資産で生活費を確保できている
  • 自宅が持ち家で、ローンも完済済み
  • 配偶者が公的年金をしっかり受け取れる予定(厚生年金+共済年金等)

【保険の見直し方法】

  • 定期保険を縮小・解約:必要な年数だけ保障を残す
  • 収入保障保険を短縮:10年などに設定し、配偶者が年金を受給するまでをカバー
  • 終身保険で最低限の生活費や葬儀費用を確保:老後資金・相続対策として活用

住宅ローンの有無

生命保険の見直しにおいて、「住宅ローンの有無」は非常に重要な判断材料です。家を購入してローンを組んでいる場合と、すでにローンを完済している場合とでは、必要な保障額や保険の役割が大きく異なってきます。

1. 住宅ローンが「ある」場合

団体信用生命保険(団信)に加入しているか確認

多くの住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)の加入が義務づけられています団信は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金でローン残債が完済される制度です。
つまり、団信に加入していれば、

  • 本人が亡くなってもローンは残らず
  • 家族は住まいをそのまま確保できる

という状態になります。
この場合、生命保険の死亡保障額を減らせる可能性が高いです。

団信の保障範囲を確認

団信にも種類があります:

種類 保障範囲
一般団信 死亡・高度障害のみ
三大疾病団信 がん・脳卒中・心筋梗塞による所定状態でも完済
就業不能保障付き団信 長期の働けない状態にも対応(商品による)

ローン返済が保険でカバーされるなら、生活費や教育費を中心とした保障に絞ることが可能です。

2. 住宅ローンが「ない」場合(完済済みまたは賃貸)

すでにローンがない場合は、住まいの確保に関するリスクが小さくなります。そのため、以下のように考えるとよいでしょう。

  • 持ち家でローン完済済み
     → 大きな死亡保障は必要ない
     → 住宅維持費(固定資産税、修繕費など)だけ考慮すればOK
  • 賃貸住宅住まい
     → 遺族が継続して賃貸で生活することを考慮し、家賃分の生活費補填を生命保険で補う必要があるか検討

3. 保険と住宅の関係をまとめると

状況 必要な死亡保障の目安
団信付き住宅ローンあり ローン残高は保障不要。生活費・教育費のみを計算
団信なしローンあり 残債+生活費を保障額に含める
ローン完済 住まいの費用は少なく済む。葬儀費用+α程度でも可
賃貸住まい 家賃分の生活保障を考慮。定期的な見直しが必要

【見直しのポイント】

  • 保障額を縮小する:ローンが完済したタイミングで死亡保障を減らす
  • 生活費中心の保険へ切り替え:収入保障保険などへ移行
  • 葬儀・相続費用への備え:終身保険で最低限の保障を残す

葬儀費用・相続対策をどうするか

生命保険を見直す際に、「葬儀費用」や「相続対策」をどう考えるかは、老後のリスク管理の中でも非常に実用的かつ現実的なテーマです。

特に、子どもが成人し、配偶者も年金等である程度生活できる見込みがあるなら、「自分が亡くなったあとの手続きと費用の負担をどう軽減するか」が生命保険の主な目的になります。

1. 葬儀費用としての備え

日本の葬儀費用は、地域や宗派によって異なりますが、一般的には100万円〜200万円程度が目安とされています。

葬儀にかかる主な費用

項目 概要
葬儀一式費用 火葬・祭壇・会場費など
飲食・返礼品費用 通夜・告別式での食事、香典返し
僧侶へのお布施 宗教的儀式がある場合
その他 自宅安置費用、搬送費、火葬許可申請など

葬儀費用に生命保険を使うメリット

  • 現金が即時に支払われる(非課税枠あり)
  • 遺族が預貯金を引き出せない場合の応急資金として活用
  • 「万が一の備え」として、少額でも意味がある

多くの家庭では、終身保険(死亡時に確実に給付されるタイプ)を利用して葬儀費用を準備しています。

2. 相続対策としての生命保険活用

生命保険は、「相続税対策」にも有効な手段です。以下の2つのメリットがあります。

① 生命保険金の「非課税枠」

法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が生命保険には適用されます。
例:相続人が配偶者と子2人(計3人)の場合
→ 非課税枠は 500万円 × 3人 = 1,500万円
この金額までの死亡保険金は、相続税がかからずに現金で相続人に支払われるので、非常に効率的です。

② 相続手続きがスムーズになる

通常の遺産(不動産・株・預貯金など)は、遺産分割協議が必要ですが、生命保険金は**「受取人固有の財産」**として扱われます。そのため、

  • 分割協議が不要
  • 相続トラブルを回避しやすい
  • 現金として確実に残せる

というメリットがあります。

3. どんな保険が向いている?

保険タイプ 向いている人・目的
終身保険(少額) 葬儀費用だけを確保したい人
終身保険(高額) 相続税対策、資産承継を考える人
一時払い終身保険 貯蓄から資産移転したい人。利息非課税の利点あり
収入保障保険・定期保険 長期的な生活保障目的(相続目的には向かない)

【注意点とアドバイス】

  • 受取人の設定ミスに注意:配偶者や特定の子どもに偏ると他の相続人とトラブルになることも
  • 被保険者と契約者・受取人の関係性を確認:税法上の扱いが変わる(相続税、贈与税、所得税)
  • 保険料の払いすぎに注意:高齢で加入する場合、保険料と給付金のバランスを慎重に

老後の生活資金は準備できているか

「子どもが成人した後も生命保険が必要か?」を考えるときに、最も重要な判断基準の一つが 「老後の生活資金が準備できているかどうか」です。

老後の生活資金がしっかり準備できていれば、死亡保障を大幅に減らすことが可能ですが、準備が不十分であれば、死亡保険や医療・介護保障の見直しが必要になります。

1. 老後に必要な生活資金とは?

老後の生活費は、夫婦2人世帯で月額約22万円〜30万円が平均的とされています(総務省統計より)。年金だけでは不足する可能性があるため、その**「不足分」を補う資金=老後資金**が必要です。

老後の主な支出項目

項目 解説
日常生活費 食費・光熱費・交通費・通信費など
医療・介護費 通院・入院・介護サービスなど(年齢とともに増加)
住居費 賃貸料または持ち家の維持費(固定資産税・修繕費)
娯楽・交際費 趣味・旅行・孫への贈与など

2. 老後資金の準備状況を確認するチェックリスト

チェック項目 確認すべきポイント
年金額の見込み ねんきん定期便やねんきんネットで試算可能
退職金の予定額 勤務先の制度確認を(中小企業では少ない傾向)
預貯金・投資資産の有無 生活費の何年分をカバーできるか?
住宅ローンの残債 完済済み or 老後にも残るかで大きく変わる
医療・介護の備え 保険でカバーするのか、自費で備えるのか

3. 生命保険と老後資金の関係

準備が「十分な場合」

  • 死亡保障は大きく減らせる
  • 医療・介護保障をコンパクトにすることも可能
  • 資産運用や節税対策に保険を使うのも選択肢(例:一時払い終身保険)

準備が「不十分な場合」

  • 死亡時に残せるお金として終身保険を残す
  • 働けなくなったときのための医療・就業不能保障の強化
  • 自分が亡くなった後、配偶者の生活費を残す必要がある

4. 老後資金不足に備える保険活用法

保険商品 活用方法
終身保険(少額) 死後の生活費や葬儀費用として使える
一時払い終身保険 相続対策+老後資金の運用として活用
医療保険・がん保険 長期療養・入院に備える基本保障
介護保険・介護特約 要介護状態になったときの一時金や年金型保障

【注意点】

  • 長生きするリスク(=「長生きリスク」)が高まっている時代には、「死亡保障」よりも「生存保障」の視点が重要
  • 保険だけに頼らず、年金、貯金、運用のバランスが大切
  • 高齢になるほど新しい保険に加入しにくくなる(審査や保険料の問題)

  • 保険のトータルプロフェッショナル
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