生命保険のプラン設計において、保険会社や担当者から「定期保険と終身保険の組み合わせ」をすすめられることがよくあります。
たしかにこれは昔からあるスタンダードな方法で、ライフステージごとの保障ニーズに対応しやすい設計です。
しかし、「本当にその組み合わせが必要なのか?」「自分にはどちらか一方で十分なのでは?」と疑問に思う方も少なくありません。ここでは、定期+終身プランの特徴と、見直しの判断基準を丁寧に解説します。
【まず理解しておきたい】定期保険と終身保険の違い
項目 | 定期保険 | 終身保険 |
---|---|---|
保険期間 | 一定期間(例:10年、60歳まで) | 一生涯(解約しない限り) |
保険料 | 掛け捨てで割安 | 貯蓄型が多く、保険料は高め |
保障内容 | 死亡保障中心 | 死亡保障+解約返戻金(老後資金・相続対策) |
主な目的 | 子育て・ローン返済など一時的な保障 | 最後の整理費用・相続準備 |
【定期+終身の組み合わせ】の目的
- 現役時代の高額保障を定期保険でカバー
→ 万が一のとき、家族の生活費や教育費を確保 - 一生涯の保障を終身保険で確保
→ 葬儀費用や相続対策、最期の整理資金として使える
この組み合わせは、「人生のあらゆる時期に備える万能型」として設計されることが多く、安心感は非常に高いと言えます。
【本当に必要?】判断ポイントとメリット・デメリット
◎ メリット:
- 一時的にも一生涯にも備えられる「バランス型」
- 終身部分は解約返戻金として資産形成にも使える
- 家族構成や将来のライフイベントに合わせて調整しやすい
△ デメリット:
- 保険料が高くなりやすい
- 本当に必要な保障が曖昧なまま加入しているケースも多い
【見直しの判断基準】組み合わせが本当に必要な人・そうでない人
定期+終身が有効な人:
- 小さい子どもがいる(教育費・生活費のための高額保障が必要)
- 住宅ローン返済中
- 相続や葬儀費用の準備をしたい(終身部分で対応)
- 保険料に無理なく払える余裕がある
組み合わせが過剰な人:
- 独身・扶養家族なし(死亡保障を大きくする意味が薄い)
- 終身保険の保険料が家計を圧迫している
- 子どもが独立済み、住宅ローンも完済(定期保障は不要)
- 貯蓄型保険に偏り、貯金や投資に回せない状態
【代替案】必要な保障だけに絞るという選択肢
- 定期保険のみ(掛け捨て)+NISAやiDeCoで貯蓄
→ 万一への備えは最小限にし、資産形成は投資制度で - 終身保険のみで整理費用対策(少額・貯蓄型)
→ 遺族や親族に迷惑をかけたくない目的で割り切る
目次
一時的にも一生涯にも備えられる「バランス型」
保険設計において「定期保険+終身保険」の組み合わせは、一時的な高額保障と一生涯の最低限の保障を両立できるという意味で、「バランス型」と呼ばれることがあります。
これは、ライフステージごとに変化するリスクに柔軟に対応しつつ、将来の相続や終活にも備えることができる、総合的で安定した保険戦略です。
とはいえ、全ての人に必要なわけではなく、自分の状況に合わせて考えることが大切です。
【1】バランス型=定期保険+終身保険の組み合わせとは?
● 定期保険(掛け捨て型)
- 10年、20年など一定期間のみ有効
- 保険料は安価で、大きな保障が確保できる
- 主に子育て中・住宅ローン返済中など、一時的に大きな保障が必要な時期に活躍
● 終身保険(貯蓄型が中心)
- 一生涯保障が続き、解約返戻金があることが多い
- 主に葬儀費用・相続対策・資産形成など、生涯にわたり役立つ
【2】具体的な保険設計例(バランス型)
● 例)30代子育て世帯のプラン
- 定期保険:2,000万円(60歳まで)→ 子どもの教育資金・生活費に備える
- 終身保険:300万円(解約返戻金あり)→ 最終的な整理資金として活用
このように、定期保険で若いうちの「一時的な保障ニーズ」に対応しつつ、終身保険で「将来の確定的な費用」に備えることができます。
【3】バランス型の主なメリット
メリット | 内容 |
---|---|
万一の備えを無駄なく設計できる | 子育て期やローン返済中は定期保険で高額保障を安価に確保 |
老後の資金・葬儀費用も計画的に準備できる | 終身保険により、一生涯の保障と解約返戻金の資産形成が可能 |
ライフステージに応じて柔軟に見直せる | 子どもの独立後に定期保険を解約し、終身だけを残すなど調整が可能 |
【4】こんな方におすすめ
- 子どもが小さく、生活費・教育費がこれからかかる方
- 住宅ローン返済中の方
- 将来の相続税対策や葬儀費用を自分で準備しておきたい方
- 「死亡保障+資産形成」を同時に叶えたい方
【注意点とデメリット】
- 終身保険は貯蓄型が多く、保険料が高くなりがち
- 定期保険部分は満期後に再加入すると、年齢に応じて保険料が急上昇
- 保険に「貯蓄性」を求めすぎると、資産運用としては非効率になる場合も
【見直しのタイミング】
- 子どもが独立したとき(定期保険の金額見直し)
- 住宅ローン完済時(定期保険の解約または減額)
- 退職前後(終身保険での相続準備の強化)
終身部分は解約返戻金として資産形成にも使える
終身保険は、「一生涯の死亡保障」がある保険でありながら、掛け捨てではなく契約を続けていくと“解約返戻金”という形でお金が戻るのが最大の特徴です。
この返戻金を上手に活用することで、保険としての保障だけでなく、中長期の資産形成・老後資金・相続対策としても役立つため、「貯蓄型保険」として注目されています。
【1】解約返戻金とは?
定義:
- 終身保険を途中で解約した際に受け取れるお金のこと
- 払った保険料の一部が積み立てられたもの
構造:
- 保険料のうち一部は「保障」、一部は「貯蓄」に回される
- 契約年数が長くなるほど返戻金が増加(返戻率が上がる)
【2】返戻率とは何か?
用語 | 意味 |
---|---|
返戻率(へんれいりつ) | 解約返戻金 ÷ 払込保険料総額 × 100(%) |
例:返戻率110% | 払込総額200万円 → 解約時に220万円受取可能 |
※商品によっては、10〜20年で元本割れ→20年以降に返戻率100%超となる設計も
【3】資産形成としての使い方
① 老後資金の準備
- 60歳以降に解約して年金のように取り崩す
- 公的年金だけでは不安な生活費を補うことができる
② 教育資金の準備
- 子どもが18歳になるタイミングで解約し、学費や留学費用に充当
③ 退職金の代替・予備資金
- 自営業やフリーランスの方が、自分の「退職金」として準備
④ 相続対策
- 死亡保険金は“非課税枠”があるため、相続税対策として有効
- 解約せずに死亡保障として使えば、家族にスムーズに資産を残せる
【4】終身保険の活用が向いている人
- 長期間(10年以上)保険料を払い続けられる人
- 貯金が苦手な人(強制的に積立ができる)
- 老後資金や相続を計画的に準備したい人
- 生命保険の保障も必要な人(葬儀費用等)
【5】注意点
△ 短期間で解約すると元本割れ
- 多くの商品は10年未満では返戻率が100%未満
- 途中で解約する予定がある人には向かない
△ 保険料が高額になりやすい
- 同じ死亡保障額でも掛け捨て型より2〜3倍の保険料になることも
△ 低金利時代の返戻率は高くない場合も
- 元本割れしない設計でも、運用効果(利回り)は低め
【6】代替案としての選択肢
- 掛け捨て保険+NISA・iDeCoで自分で資産運用
→ 柔軟性や流動性を重視するならこちらが有利なことも - 外貨建て終身保険・変額保険
→ リスクはあるが、返戻率が高い設計が可能(ただし為替・運用リスクあり)
家族構成や将来のライフイベントに合わせて調整しやすい
生命保険は一度入ったらそのまま…と思われがちですが、実はライフステージに合わせて調整(見直し)するのが正しい活用方法です。
特に「定期保険+終身保険」の組み合わせで設計している場合、必要な保障を“増やす・減らす・切り替える”ことが柔軟にできるため、家族構成やライフイベントに応じた合理的な見直しが可能です。
【1】なぜ調整が必要なのか?
人の人生には、さまざまなイベントがあります。
例えば:
- 結婚・出産・育児 → 扶養家族が増える
- 住宅購入 → ローン返済への備えが必要
- 子どもの独立 → 教育費や生活費の負担が減る
- 定年退職 → 収入がなくなり、保険料が重くなる
- 親の介護 → 新たな経済的責任が発生
これらの変化に合わせて、「必要な保障額」や「保険料に使える余力」も変わります。
そのため、**定期的な保険の見直し=“ライフプランの見直し”**とも言えるのです。
【2】具体的な調整の仕方
① 保険金額を調整する
- 出産後:定期保険の保障を増額して教育費に備える
- 子どもが独立したら:保障を減額して保険料を抑える
② 保険期間を見直す
- 定期保険:更新型であれば、満期後に期間延長 or 解約
- 住宅ローン完済後は、団信(団体信用生命保険)で死亡保障が足りているため、定期保険を解約する選択肢も
③ 加入形態を切り替える
- 独身→既婚→子育て→老後と移る中で、終身保険を主契約に切り替えたり、特約だけを見直すことも可能
④ 終身保険の活用を変更
- 早期解約して老後資金に充当
- 死亡保障として残し、相続対策に使う
【3】家族構成と保障の例
家族構成 | 必要な保障 | 調整例 |
---|---|---|
独身(20〜30代) | 医療保障中心+葬儀費用程度 | 定期は不要、終身を少額だけ |
既婚・子あり(30〜50代) | 高額死亡保障+医療・がん保障 | 定期を増やし、終身を維持 |
子ども独立後(50〜60代) | 医療・介護・葬儀資金 | 定期保険を解約 or 減額 |
老後・リタイア後(60代以降) | 整理資金・相続対策 | 終身保険を資産として活用 |
【4】調整しやすい設計とは?
- 定期保険は掛け捨てで、期間や金額の変更がしやすい
- 終身保険は“残しておくべき最低保障”として運用
- 特約の追加・削除も比較的柔軟にできる
このような構成にしておくことで、「家族が増えたら増やす」「子どもが自立したら減らす」「保険料がきつくなったら見直す」といった柔軟な調整が可能です。
【注意点とアドバイス】
- 保険会社や商品によっては増額・減額に制限がある
- 更新型定期保険は、更新時に保険料が大幅に上がる
- 終身保険の減額や払済変更には返戻金・保障額への影響があるため慎重に
保険料が高くなりやすい
生命保険に加入する際、「安心感を重視して終身保険を選んだら思ったよりも保険料が高い」「定期+終身の組み合わせで月々の支払いが家計を圧迫している」と感じる方は少なくありません。
特に貯蓄型の終身保険は、保障+積立を兼ねているため、掛け捨て保険よりも保険料が高額になるという構造的な特徴があります。
【1】なぜ保険料が高くなるのか?構造の違い
● 掛け捨て型(定期保険)の保険料
- 保障のみ
- 期間限定(10年・60歳までなど)
- 解約しても返戻金なし
→ 保険料は安価(月1,000円〜)で、必要な時期だけ保障を確保
● 貯蓄型(終身保険)の保険料
- 保障+解約返戻金
- 一生涯の保障
- 死亡保障がそのまま資産として残せる
→ 月々の保険料は高くなりがち(同じ保障額でも2〜3倍)
【2】具体的な金額イメージ
保障内容 | 保険の種類 | 月額保険料の目安(30歳・死亡保障500万円) |
---|---|---|
定期保険 | 掛け捨て | 約1,500〜2,000円 |
終身保険(貯蓄型) | 解約返戻金あり | 約8,000〜12,000円 |
定期+終身の組み合わせ | バランス型 | 約10,000〜15,000円以上 |
→ 同じ500万円の保障でも、終身保険を含めると一気に保険料が高くなる
【3】保険料が高くなる要因
- 貯蓄(解約返戻金)を含む設計
- 一生涯の保障を確保している
- インフレリスクに備えた保障の増額や特約を多く付けている
- 健康状態による割増(引受緩和型・高リスク体)
【4】保険料が高すぎると起きる問題
- 貯金ができない(本末転倒)
- 住宅ローン・教育費など他の支出に影響
- 将来的に保険を継続できず途中解約 → 元本割れ
【5】対策方法:保険料を抑えつつ保障を持つには
◎ 保障と貯蓄を分ける
- 死亡保障=掛け捨て定期保険
- 資産形成=NISA・iDeCo・つみたて投資
◎ 終身保険は最低限の額(100〜300万円)に絞る
- 葬儀費用や遺品整理など、必要最低限の死後資金に限定
◎ 保険期間を短くする(更新型より全期型の方が安い場合も)
◎ 家族構成やライフステージに応じて定期保険の金額・期間を調整
【見直しのタイミング】
- 結婚・出産・住宅購入などで生活費が増えるとき
- 退職や収入減が予想されるタイミング
- 保険料負担が家計の10%以上になっているとき
本当に必要な保障が曖昧なまま加入しているケースも多い
生命保険に加入する際、多くの方が「とりあえず不安だから」「営業担当に勧められたから」「貯蓄になると言われたから」といった理由で、具体的に何のための保障なのかを明確にせずに契約してしまうケースが少なくありません。
その結果、必要のない高額な保障を長年払い続けたり、逆に足りない保障があることに気づかず困ることもあるのです。
【1】なぜ「必要な保障」が曖昧になるのか?
● よくある原因:
- 「死亡保障」「医療保障」の違いや役割が理解できていない
- 家族構成や生活費などの具体的な必要金額を算出していない
- 保険商品が多すぎて、何が自分に合っているか分からない
- 「貯金代わり」として、目的を明確にせず終身保険に入っている
- 保険外交員や銀行員の勧めを鵜呑みにしてしまった
【2】実際にありがちな曖昧な契約例
① 独身なのに3,000万円の死亡保険に加入
→ 扶養家族がいない場合、高額の死亡保障は不要であり、保険料の無駄になることが多い
② 医療保険・がん保険・三大疾病保険にすべて加入
→ 保障が重複しており、保険料だけがかさんでいる
③ 解約返戻金目当てで高額な終身保険に加入
→ 他に投資や貯金の手段があるのに、低利回りな保険に偏ってしまっている
【3】曖昧な加入のリスクとデメリット
問題点 | 内容 |
---|---|
保険料の無駄 | 本来必要ない保障に毎月何千円〜何万円も払っているケース |
必要な保障が不足 | 本当に必要な医療・就業不能保障などが手薄なまま |
途中で気づいても遅い | 年齢が上がると保険料が高くなり、見直しが難しくなる |
【4】本当に必要な保障の考え方(基準)
自分に必要な保障額を見積もる3ステップ:
ステップ1:「万一」の時に必要なお金を洗い出す
- 家族の生活費 × 必要年数
- 子どもの教育資金
- 住宅ローン残債
- 葬儀費用・相続対策(老後)
ステップ2:公的制度・既存の資産でカバーできる部分を差し引く
- 遺族年金、高額療養費制度、預貯金
ステップ3:「差額」が保険で備えるべき保障額
→ この考え方をもとに保険設計すれば“無駄も不足もない”
【どう見直す?対策のポイント】
- 保障の「目的」と「金額」を自分の言葉で説明できるかをチェック
- 加入している保険を一覧にし、重複・不要・不足を仕分け
- 必要なときに必要な保障を持つという発想で、定期的に見直す
- 商品ベースではなく、「何のための保障か?」から考える
- 保険のトータルプロフェッショナル
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