介護保障付き生命保険、選び方のポイント

介護保障付き生命保険、選び方のポイント

公的介護保険だけでは、自己負担や施設費用、在宅改修などすべてを賄えるわけではありません

そこで、介護保障付き生命保険介護特約を活用することで、公的制度のカバー外に備えられます。ここでは、選び方の観点を6つのポイントに分けて詳しく見ていきます

保険のタイプを選ぶ:貯蓄型 vs 掛け捨て型

介護保障付き生命保険には、「貯蓄型」と「掛け捨て型」という2つの基本的なタイプがあります。

これは、保障があるだけでなく、将来的にお金が戻るのか、それとも保障のみで費用は戻らないのかという違いを意味します。

保険料やライフプランへの影響も大きいため、しっかりと比較することが大切です。

【1. 貯蓄型(積立型)】

概要

  • 保険料は高めだが、解約返戻金や満期返戻金がある
  • 死亡保障や老後の生活資金準備を兼ねた設計が可能
  • 保険期間を終えると一定額が戻ってくることが多い

メリット

  • 解約時や満期時に資金が戻る「資産形成効果」がある
  • 「使わなかったら無駄になる」という心理的負担が少ない
  • 介護が不要でも死亡保障が得られる場合もある

デメリット

  • 保険料が高いため、加入できる人が限られる
  • 必要な時期に現金化しにくい(長期契約が前提)
  • インフレによる返戻金の実質価値低下リスクあり

向いている人

  • 保険に貯蓄性も求めたい
  • 老後資金として活用を視野に入れている
  • 保険料を長期で負担できる家計の余裕がある人

【2. 掛け捨て型(保障型)】

概要

  • 保険料は安いが、満期金や解約返戻金は基本的にない
  • 「保障のみ」に特化したシンプルな設計

メリット

  • 月々の保険料が安く、コスト負担が小さい
  • 必要な期間だけ手軽に介護保障を確保できる
  • 公的介護保険の不足分を効率的に補いやすい

デメリット

  • 保険期間を終えたり、介護が必要でなかった場合は支払った保険料が戻らない
  • 一生涯の保障を希望する場合は長期契約や更新が必要

向いている人

  • 最低限の介護保障を安く備えたい
  • 若年層や保険料負担を抑えたい人
  • 保障に「資産性」よりも「万が一の備え」としての実用性を求める人

【比較まとめ】

比較項目 貯蓄型保険 掛け捨て型保険
保険料 高い 安い
満期・解約返戻金 あり なし
死亡保障 付加されることが多い 基本的に介護保障のみ
長期の活用性 老後資金や相続資金として使える 短期・中期の介護リスクに対応
向いている人 保障+資産形成をしたい人 最低限の備えを安く持ちたい人

給付形式:介護年金型 or 介護一時金型 or 併用型

介護保障付き生命保険を選ぶ際に重要な要素の一つが「給付の受け取り方」です。介護にかかる費用は、一度にまとまって発生する場合と、長期間にわたり継続的にかかる場合があります

こうした現実に対応するため、給付形式には主に3つのパターンがあります:年金型(介護年金)、一時金型(介護一時金)、併用型。それぞれの特徴と選び方のポイントを見ていきましょう。

【1. 介護年金型(定期支給型)】

概要

  • 要介護状態が一定期間以上継続した場合、毎年または毎月定額の給付金が支払われる
  • 「介護が長期に及んだときの生活支援」を目的とする

メリット

  • 介護が長期化しても安定して給付が受けられ、生活費の補填に最適
  • 在宅介護や施設利用など、毎月かかる支出に対応しやすい

デメリット

  • 受給開始までに時間がかかることがある(要介護認定や継続期間の条件)
  • 介護が短期で終わった場合、給付総額が少なくなる可能性

向いている人

  • 長期介護のリスクに備えたい
  • 月々の介護費用を補いたい
  • 家族が在宅介護を行う前提で費用支援を受けたい

【2. 介護一時金型(初期支給型)】

概要

  • 要介護状態になった時点で、一括でまとまった金額が支払われる
  • 「初期費用の発生」に備える目的で設計されている

メリット

  • 住宅のバリアフリー改修、介護ベッド購入、介護施設入居など初期費用に充てやすい
  • 比較的短期間で受け取れる商品が多く、迅速な資金確保が可能

デメリット

  • 一度きりの給付なので、長期介護には不十分な場合がある
  • 支給条件に厳しい商品もあり、給付要件の確認が必要

向いている人

  • 要介護になった直後の支出(家の改装、入居費用)に備えたい
  • 比較的介護期間が短くなると予想される
  • 一括でお金を使いたい目的が明確にある

【3. 併用型(年金+一時金)】

概要

  • 一時金と年金型給付を組み合わせたハイブリッド設計
  • 初期の大きな出費と、その後の継続的な費用に両対応する

メリット

  • 最もバランスの良い保障設計が可能
  • 初期費用と長期介護費用の両方に備えられる
  • 状況に応じてどちらも使える安心感がある

デメリット

  • 保険料はやや高くなりがち
  • 給付条件の複雑さに注意(それぞれに支給要件がある)

向いている人

  • 初期費用+長期介護の両リスクに備えたい
  • 安定した家計支援を重視したい
  • トータルバランスで「安心」を重視したい

【比較まとめ】

項目 介護年金型 介護一時金型 併用型
支払タイミング 要介護状態が継続後に分割支給 要介護状態になったら一括支給 一括+継続支給
向いている支出 月々の介護・生活費 改装費・入居金など初期費用 初期+継続すべて
保険料 中程度~高め 安め 高め
リスク対応の幅 長期介護向け 短期集中支出向け 広範囲の備えに対応

保険期間と払込期間

介護保障付き生命保険を選ぶ際、意外と見落とされがちなのが「保険期間」と「払込期間」の設計です。

この2つの期間をどう設定するかによって、保険料の総額や保障の持続性、家計への負担が大きく変わります

ここでは、それぞれの期間の意味と選び方を詳しく解説します。

【1. 保険期間とは?】

定義:

保険の保障が継続する期間のこと。介護状態になったときに給付を受けるには、この期間中である必要があります。

主なタイプ:

  • 終身型
    • 一生涯にわたって保障される
    • 死亡後まで対応できる(死亡保障と連動する設計も多い)
    • 保険料は高め
  • 定期型
    • 一定の期間(例:65歳まで、80歳までなど)で保障される
    • 一時的な介護リスクへの備え向き
    • 保険料が安く、若いうちの加入に有利

  • 介護が現実的に起こりやすい年齢(70代以降)に備えたいなら、終身型が安心
  • 「子どもが独立するまで」「親の介護と重ならないように」など、限定した時期に備えるなら定期型

【2. 払込期間とは?】

定義:

保険料を払い込む期間のこと。保障が続く期間とは異なる場合があります。

主なタイプ:

  • 終身払い
    • 保険料を亡くなるまで支払い続ける
    • 1回あたりの保険料は安くなるが、老後も支払いが発生
  • 有期払い
    • 60歳・65歳など、一定の年齢で支払いが終了
    • 老後の支出を減らしたい人に最適
    • 月額保険料は高めになる

  • **退職後の収入減少を見越して、有期払い(60〜65歳払込終了)**を選ぶのが一般的
  • 予算に余裕がない若年層は、終身払いで月々の負担を抑える選択もあり

【保険期間 × 払込期間の組み合わせ例】

保険期間 払込期間 特徴・おすすめ対象
終身型 終身払い 月額安いが老後も負担あり/若年層向き
終身型 有期払い 保険料高めだが退職後の支払いゼロ/定年設計に安心
定期型 有期払い 保険料は比較的抑えられ、目的時期に合わせた備えが可能

給付条件(支払トリガー)の確認

介護保障付き生命保険を契約しても、実際に保険金が支払われる条件を満たしていなければ給付されません

この「給付条件」または「支払トリガー」は保険会社によって異なり、よく確認せずに契約すると、「介護が必要な状況なのに保険金がもらえない」といった後悔につながることがあります。

ここでは、主な給付条件の種類と注意点を詳しく解説します。

【1. 公的介護保険連動型】

概要:

  • 市区町村が認定する**「要介護○以上」**の状態を給付条件とするタイプ。
  • 「要介護2以上」「要介護3以上」など、等級が条件となっていることが多い。

メリット:

  • 認定基準が全国共通のため、客観的で分かりやすい
  • 行政の判断に基づくため、保険会社とのトラブルが起こりにくい

デメリット:

  • 認定には申請〜審査〜決定まで時間がかかる(数週間〜1か月程度)
  • 要介護1では給付されない商品も多い

向いている人:

  • 公的制度に慣れていて、行政判断を基準にしたい人
  • 長期的な介護保障を想定している人

【2. 独自基準型(保険会社独自の判定)】

概要:

  • 保険会社が独自に設けた診断基準(例:ADL=日常生活動作の項目、認知症検査など)に基づいて給付

メリット:

  • 状態によっては、公的認定より早く給付が受けられる可能性あり
  • 給付までのスピードが速い(診断書で判断可能なケースも)

デメリット:

  • 保険会社の判断基準がわかりにくい場合があり、事前に内容をしっかり確認する必要あり
  • 「この状態なら支払われる」と誤解しやすい

向いている人:

  • 急な介護開始に備えたい人
  • 「要介護認定を待っていられない」状況に備えたい人

【3. 併用型(公的認定+独自基準)】

概要:

  • 公的認定または保険会社独自の基準いずれかを満たせば給付されるタイプ

メリット:

  • 最も柔軟性があり、給付を受けやすい
  • 一時金型・年金型ともに適用されている商品がある

デメリット:

  • 保険料はやや高めになる傾向がある
  • 給付条件が複雑で確認に手間がかかることも

向いている人:

  • 幅広くリスクに備えたい人
  • 早期給付と客観性の両方を重視する人

【確認すべき具体的項目】

  1. 要介護等級の指定:要介護2以上?3以上?要支援は対象外か?
  2. 認定機関の指定:市区町村の認定か、医師の診断か?
  3. 対象となる介護状態の定義:食事・排泄・入浴・歩行などADL制限の具体的基準は?
  4. 認知症への対応:認知症だけでも給付対象になるか?(認知症特約など)
  5. 継続期間の要否:何日以上その状態が続いたら支払われるか?

特約の有無・検討内容

介護保障付き生命保険は、主契約だけでも十分な保障を得られることが多いですが、特約を追加することでさらに実用的で柔軟な保険設計が可能になります。

ここでは、検討すべき主な特約の種類と、それぞれのメリット・注意点をご紹介します。

【1. 認知症特約】

内容:

  • 認知症と診断されたときに、一時金や年金が支払われる特約
  • 初期の軽度認知障害(MCI)ではなく、「中度以上の認知症」が対象のことが多い

メリット:

  • 高齢化社会における「認知症リスク」に対応
  • 認知症特有の介護費用(見守り、施設入所など)への備えになる

注意点:

  • 給付対象となる認知症の基準(例:医師の診断、介護認定等)を確認すること
  • 加入年齢制限がある商品もあるため、早めの検討が有利

【2. 保険料払込免除特則】

内容:

  • 被保険者が一定の介護状態に該当した場合、それ以降の保険料支払いが免除される特約

メリット:

  • 介護状態になると収入が減る可能性が高いため、保険料支払いの負担をなくせる
  • 加入者の経済的安心感が高まる

注意点:

  • 保険料がわずかに上乗せされる
  • 免除の条件(要介護○以上など)を事前に確認する必要がある

【3. 死亡保障特約】

内容:

  • 死亡時に遺族に一時金が支払われる特約。介護保障に加えて死亡保障も持たせる設計

メリット:

  • 介護にならなかった場合でも、死亡時に保障がある
  • 保険が“掛け捨て”にならず、一定の安心感が得られる

注意点:

  • 保険料はその分上がるため、保険目的とのバランスを確認することが重要

【4. 医療保障特約・入院特約】

内容:

  • 介護に至る前段階(病気やけが)への備えとして、医療保障や入院給付金を追加

メリット:

  • 介護前後の医療費をカバーできる
  • 特に在宅介護前の治療期において役立つ

注意点:

  • 他に医療保険に加入している場合は、保障が重複していないかを確認する

【5. 終身介護特約(介護年金+一時金併用型)】

内容:

  • 一時金と年金の両方を備える形で、長期介護・初期費用の双方に対応

メリット:

  • 幅広いリスクに対応可能で、保障が手厚い
  • 高齢期の生活設計がしやすくなる

注意点:

  • 保険料が高くなる傾向がある
  • 特約それぞれの給付条件・期間・金額を細かく確認すべき

【特約を選ぶ際のポイント】

  • 主契約の目的を明確にする(介護?死亡?医療?)
  • 重複する保障がないかを確認(医療保険や他の生命保険との整合性)
  • 保障に対して費用対効果が見合っているか
  • 将来的なライフステージ変化に対応できる設計か

保険料と給付総額のバランス

「保険料は安ければ良い」「給付金は多ければ安心」という考えは一見合理的に見えますが、実際の保険選びではその“バランス”が鍵になります。

介護保障付き生命保険では、介護に必要な費用を把握したうえで、保険料とのバランスを取ることが、賢く後悔しない選択につながります。

【1. 介護にかかる実際の費用】

厚生労働省などの調査によると:

  • 介護にかかる月額平均費用:約8.3万円
  • 平均介護期間:約5年
  • → 総額:約500万円〜600万円程度が目安

※施設入所や有料サービスを使う場合は、それ以上かかる可能性もあります。

【2. 保険料と給付金の関係】

高い保険料 → 高い給付総額

  • 保障が手厚くなる反面、家計負担が大きくなる
  • 若いうちに加入すれば保険料は安く済むが、加入時期が遅れると急激に上がる

低い保険料 → 限定的な保障

  • 掛け捨て型や最低限の保障設計でコストを抑えられる
  • ただし、実際の介護費用をカバーできない可能性も

【3. バランスの取り方:設計のコツ】

1. 必要な保障額を具体的に算出

  • 自宅介護か施設介護か
  • 公的介護保険(要介護認定)による支給額との差額
  • 家族の支援状況(在宅可能か、外部サービスが必要か)

2. 保障形式を選ぶ

  • 一時金(例:300万円)+年金型(月5万円×5年=300万円)などの併用型が合理的
  • すべて保険でカバーせず、貯蓄と組み合わせて備えるのも有効

3. 月々の保険料の目安を決める

  • 一般的に、介護保険に充てられる月額保険料の目安は1,000円〜5,000円前後
  • 年収やライフステージによって調整

【4. 保険料負担の時期も考慮】

  • 定年後も支払う設計(終身払い)は、老後家計を圧迫する可能性あり
  • 60歳・65歳払込終了型(有期払い)は、老後の支払い不要で安心。ただし保険料は高くなる

【5. コストパフォーマンスが良い設計とは?】

  • 「介護一時金300万円」「介護年金 月5万円×10年」など、必要な最低限を抑えた設計
  • 保険料:月2,000〜3,000円程度なら家計への影響も小さく、続けやすい
  • 特約や死亡保障を追加する場合は、バランスを見ながら段階的に増やす

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